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ラジオな日々

藤井青銅著「ラジオな日々」(2007年小学館刊)を読んだ。
「70年代終わりに放送作家になった著者が綴る、<ラジオがきらきら輝いていた時代>の自伝的クロニクル」だそうである。
舞台が主にニッポン放送なので、そこに出てくる人々は超一流のアイドルだったり、声優さんだったり、アーチストだったりする。
当時のラジオがどう作られたかを、放送作家の目を通して描写されていると考えると、そこそこ興味をひかれる人が多かっただろう。
小学館がわざわざ本にしたのも、そういう名前がフックになると思ったからだろう。


とにかく出てくる人がビッグで、東京のラジオのキー局を舞台にしているだけ、華やかに見えるかもしれないが、ここで起こっていたことは、スケールの差はあれ、どのラジオ局も同じようなものだったろう。
放送作家を志したものが、ラジオという世界に初めて触れる時、そして原稿を書くときの苦労、出演者との語らい、そしてプロデューサーやディレクターとの葛藤、その本質的なものはひょっとするとどの世界でも変わらないかもしれない。
ラジオ業界とは関係ない人にはとても興味深いかもしれないが、中の人間にとっては、今さらという話が1冊の本になっているという印象だろうか。


そういうことで、私もちょっと同じような話をかいてみることにした。
私の中のラジオな日々という感じかな。
まずは、ラジオ(私の場合はFM)との出会い。
FM局というのは、私がまだ学生の時にスタートした新興の放送局だった。
音楽好きの若い連中は知っていたが、大多数の人は「FM? SMなら知っているけど、似たもの?」なんて言われていた時代だ。
ある時、家でぼーとFMを聞いていたら、「社員募集」のスポットが入った。
多分、実際にFMを聞いているリスナーに入社してほしかったのだろう。(他には朝日新聞等で募集をかけていたらしいが私は見ていない)
で、ほとんどシャレで応募することにした。
私は大学院に進む予定だったので、就職試験とやらを体験したかっただけというか。
交通費とかもくれたので、受けて損はないという感じかな。


それが何故か、筆記試験を通り、第一次面接を通り、第二次面接まで行った。
200~300人が受けていて、実際に通ったのは最終的に3人。
私としては、第二次面接まで行ったのに面食らい、第一志望かという問いに対して、いえ、実は大学院に進学するつもりなどと言わなくてもいいことを言ってしまった。
後で聞くと、ある面接官はカチンと来て私を落としてしまったらしいのだが、何故か内定を出した1人が別会社に行ってしまい、悪いけど来てくれないかと連絡があった。
どうしようかと思っているうちに、大学院の入試が始まり、講座の諸先生方との最終面接というのがあった。
そこで、教授からきつい一言。
君、民間の会社が決まったんだろ、そちらに行きたまえ。
あらま?
勉強なんかいつでもできる、社会に一度出て、それからでも遅くない。
問題意識が生まれたら、またここに戻ってくればいい、そうしろ、そうしろと周りの助教授、助手の方も。
サラリーマンかあ、なりたくないなあ・・・。
いや、バチあたりもいいところであった。


しかし、運命とは恐ろしいものだ。
そんな気、全くといってほどなかった私が放送局に入り、番組のディレクターになり、ニュースアナウンサーになり、営業マンとしてそこそこ成績を残し、そしてプロデューサーとなって会社を辞め、今に至るわけだから。
途中、何度か大学に戻ろうかと思ったのだが、その度に新しい仕事を抱えたり、人事異動されたりして逃げられなくなったというか。
会社を辞めたのは43歳の時。
演劇の制作会社から是非にと言われて転職したため、その後も新しい仕事に追われて大学院に入りなおすどころではなかった。
バブルが弾け、演劇の仕事が激減してしまった時に、そのチャンスは生まれたのだが、如何せん最後の演劇で大赤字を背負い、それからは勉強するどころではなく、借金の返済に大わらわ。
世の中、本当にうまくいかない。
何か、こういう話をしはじめると、愚痴ばかりになりそう。


で、思うのだ。
「ラジオな日々」を書いた人、本当に幸せなラジオデイズを送ったんだなあ、と。


いや、私もラジオデイズを書けば、そこそこ面白い話書けるんですよ。
でもね、幸せだったかと言われると、作者の藤井青銅さんほどではなかったなあと思う訳ですよ。


オーハッピーデイズ、そんな時代もあったね~と♪
などと今回は書き連ねてみましたけど、面白かったですか?



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100以上の番組、ライブを中心としたイベント、舞台、映画など、専らクリエイティブな世界に身を置いて30年。
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