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FM局盛衰記

さて、少し具体的な例を出しながら、今後の放送業界、ラジオ業界について考えを述べて行きたい。
そうなると、まず私が在籍していた古巣のFM局のことに触れないわけにはいかない。
今、私の目の前には、その局の最新タイムテーブルがある。
私が居た時のそれと比べて一番顕著なことは、スポンサーの表記が圧倒的に少ないことである。
キラ星のように、有名クライアントが並んでいた時代、その時はFM放送は時代の寵児であったなあと思う。
今は、ただのラジオの一つ。
かつてFM東京さんが、「FMをラジオと呼ぶな」と主張されていたことを思い出す。
ラジオという言葉はAMを指すものだ、我々はFM、新しいメディアである。
差別化するために、ラジオとは呼ばせない、ローカル局もそのつもりで、というニュアンスだった。


FM大阪発のネット番組に「れでぃお・アンルイス」(シャープ提供)というのがあった。
東京さんは、このタイトルにクレームを入れてこられた。
ラジオという表記はやめてくれ。
それに対してのFM大阪の返事は、「ラジオじゃない、れでぃおです。」だったとか。
本当かどうか、今となってはわからないが、色々ごたごたしていたと聞く。
ちなみに、私はこの番組の三代目ディレクターだったが、代わってから1年ほどで終了してしまった。
で、その後番組が前にお話した「山本コータローのアイドルランド」。
アイドルという言葉にも、FM東京は拒否反応を見せたらしいが、真偽のほどは不明ということにしておこう。


FM局、これも前にFM雑誌のところで書いたことだが、最初はオーディオ関係のスポンサーがメイン。
トリオだのアカイだのサンスイだのデンオンだのアイワだのオンキョーだの。
それに家電メーカーがわざわざオーディオだけのブランドを作り、松下はテクニクス、東芝はオーレックス、三菱はダイアトーン、三洋はオットー、シャープはオプトニカ、日立はローディ、ソニーは・・・やっぱりソニーだったかな。(NECや日本ビクターはどうだったっけ。)
これらが番組持ったり、全時報のスポットを提供したり、1日ニュースを提供したりしていた。
これに大阪だと日本橋の電器店がスポットの提供に加わる。
今でも残っている上新電機のほか、ニノミヤムセン、中川ムセン、喜多商店、昭和ケース音響、岡本無線、共電社、シマ無線なども提供いただいていたと記憶する。(記憶もれがあればご容赦ください。)


基本的に、番組はエアチェック優先のフォーマット。
本当に若い層、それもお小遣いを持っているヤング、ヤングアダルト層ねらいのクライアントが多かった。
もう、そういうイメージというか、若者ブランドとして確立していたのがFM放送という感じだった。
ところが、10年も経つと、オーディオ中心では売上が伸びない、もっと女性の層を取り込まないと今年度の予算は達成しないという話になり、少しファッショントークみたいなものが増え始める。
ワイド番組を切り刻み、ファッション中心のベルト番組、デザイナーのトーク番組などが始まる。
コーセー化粧品、資生堂、カネボウ。
外資系のクリニークがFM中心に長秒スポットを打ち出したのもこの頃。
大阪だけでも、年間2千万程度のスポットを流したのではなかったか。
その頃からファッション系のクライアントも増え、大阪ではスリーエム、コバック、東京スタイル、イトキン、ミカレディ等々がクライアントに名乗りを上げ始めた。


10年目以後に打ち出したキーワードが「ニューファミリー」。
つまり、学生だったオーディオファンの若者が、結婚し、子供が産まれ、ファミリーを形成。
それも今までと違って、核家族的に独立したファミリー。
そのニーズに合わせた商品が生まれ、そのPRにFMメディアが選ばれたのだろう。
80年ぐらいから加速度的に増えていったのは、SC(ショッピングセンター)。
百貨店やスーパーの時代から、おしゃれなSCの時代へと変わって行った。
その時にもFM放送は、SC展開の核にいた。
その頃は私の営業時代と重なり、私が担当したクライアントだけでもエスト一番街、心斎橋パルコ、泉北パンジョ、心斎橋ホワイトアベニュー、京都駅ポルタなどがあった。
バーゲン時には、スポット枠はSC物件で一杯になった。
今では、全く考えられないことだ。


降る雪や 昭和は 遠くなりにけり


さて、昔話ばかり書いてしまって、そろそろ皆さん退屈されはじめたかな、もう少し辛抱してくだされ。
などとワアワアやっているうちに、バブル到来。
FM局も次々に生まれるし、90年代までは話題が一杯だった。
ただ、この頃になると、もはやニューファミリーという言葉も失速し、オーディオ関係の出稿は激減、また女性層は専らテレビや雑誌への出稿で事足りるようになった。
ラジオは家で聴くよりも車で聴くようになり、自家用車、ガソリン、損害保険など、カー関連のクライアントが伸びてくる。
バブルだから、高い車が面白いように売れたし、外車のディーラーからの出稿も目立った。
そしてCDのミリオンセラーが松任谷由実という歌姫を得ることによって、常態化しはじめ、音楽系の出稿もFMにどんどん向かい始める。
J-WAVEの開局、FM802の開局、802はヘビーローテーションを武器に、新しいアーチストをレコード会社と組んで次々にスター化させていった。
あげくは、ヘビーローテーションまで売りに出すFM局が現れ、50万、100万という金が各ローカル局にまでばら撒かれるようになる。
そして、バブルがはじける・・・。
FM局は、一瞬沈黙し、そして長期低落の時代が始まることになるのだ。
(続く)






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100以上の番組、ライブを中心としたイベント、舞台、映画など、専らクリエイティブな世界に身を置いて30年。
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いつまで続くかは皆さん次第。


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