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育てる心~ラジオに望むこと・2

毎年新しい人が入ってきて、そして育って行きました。
社員も、DJも、制作スタッフも。
それが、ある時からそうでなくなった。
その理由は?


ある人が、ツイートでこう言われました。
「その理由は何なんだろう?気になります。」
気にしていただけて光栄、でも、この理由、なかなか答えるのが難しい。
マクロ的にいえば、金が回らなくなった、つまり人への投資が減ったということにつきます。
人を育てるために必要なもの、方針、哲学、人材、教材、環境、これらを担保するための金ということになるでしょうか。
育てる、すなわち教育ですね。


実は、私は大学の教育学科におりました。(教育心理学専攻)
それゆえ、教育問題にはそこそこうるさいです、私。
教育学にはいくつかのジャンルがあります。
教育哲学、教育制度学、教育方法学、教育社会学、教育心理学、そして教育史です。
人を育てるというのは、ある意味人を社会化することでもあります。
社会の中の構成員として機能を発揮できるように訓練する、それが人を育てるということです。
社会が求める人物像とは何か?
それが教育哲学の一つの課題です。
制度学は、法律などのルール作り。
方法論は、教育のためのノーハウ。
社会学は、現況の分析、その結果どんな人物が育ってくるのか。
心理学は、育てる効率みたいなものを測定し、教育史はそれらがどう発展してきたかを俯瞰します。


人が育つのに必要なもの、まず社会の安定した価値観(哲学)。
両親や兄弟の存在は、プライマリーな部分からをそれを支えます。
社会に同化し、それを発展させ、それを継承する次世代を育てる、そのサイクルが人間社会をより安定化させるといえましょう。
そのためのルール作りも、日々状況に合わせて行われます。(制度化)
会社の中においても、同じように人を育てる過程というのが存在します。
発展する会社は、人を育てるのに成功した会社だ、私はそう思っています。
どこかで停滞してしまった会社は、結局人を育てるプロセスを失ってしまったのだろうと推察するわけです。


さて、教育の本質みたいなものに拘ってしまったので、何を言ってるんだおまえはと叱られるかもしれません。
言いたいのはここです。
例えば、今のFMOが人を育てられないラジオ局だとしたら、失ったものは人を育てるプロセス、あるいはそれを可能にするシステムだと言えるのではないでしょうか。
私が現役のディレクターだったころと、今の違い。
まず、制作に投資される金が質的に違うということ。
何も潤沢に制作費があったわけではありませんが、必要な金は必然性があれば用意してくれました。
アクティブにクリエイティブな活動を行うための環境を与えてくれていた、私はそう思います。


一番の違い、レコードの購入費の差。
多分、年間千万円単位で買ってくれていました。
こういうレコードがほしいといえば、外盤でも取り寄せてくれました。
日本ではここにしか存在しないというレコードもありました。
今のようにデータベースなどというものはほとんど存在しない。
それらは、誰かの頭の中にあるだけというジャンルもあったのです。
ですから、この世界で生きて行こうと思えば、自分でどうやってデータベースを作るかが重要になります。
パソコンのウィキペディアを検索すれば出てくるという時代ではありません。


材料は与えてくれます、放送局はそれを購入してもくれますし、外部の方(レコード会社や音楽ライターの方)も提供してくれます。
でも、それを番組に反映するのは、一人一人のディレクターの力。
そういうディレクターが多いラジオ局(FM局)は、音楽に飢えたリスナーの方からは文句なく支持されます。
前にFM大阪の人気番組だった「ビート・オン・プラザ」のことを書きました。
ただ、レコードの両面をかけるだけの番組ですが、何故それが支持されたのか。
そのレコードが、ほとんどまだ誰も持っていない(発売されていない)段階で、アーチストの紹介とともにオンエアされた、だからリスナーは毎回カセットをセッティングし、エアチェックしてくれたのです。
今の私があるのは、「ビート・オン・プラザ」のおかげだという人が多いのは、それが青春の音楽への飢え体験と繋がっているからなのです。


少し、脱線してDJの一人だった田中正美さんから聞いた話を思い出しながら書いてみます。
田中さんは、当時六本木の事務所にいたそうなのですが、すぐ隣がある外盤の輸入などを手掛けていた卸商社だったそうです。
そこには、アメリカやヨーロッパのレコード会社からサンプル盤(いわゆるジャケットもなく、タイトルも入っていない白盤)が送られてきて、英語の内容説明もあった。
田中さんは、いつもそこへ顔を出しては、その中から紹介できそうなものをピックアップし、選曲したそうです。
何しろ、当時は1ヶ月以上前に、FM雑誌に放送する曲をなるだけ全曲提出しないといけません。
そのためには、日本盤のサンプルができてからでは遅い。
どこかの評論家が日本盤のためのライナーノーツを書いている、それと並行した形で独自に番組の中味を考えていたのだそうです。


で、時々、手違いが生まれた。
それは、日本盤と外盤の曲の順番が微妙に違っていたり、日本盤にボーナストラックが入ったりして、実際には番組で紹介したものと同じではなかったのだそうです。
でも、リスナーからは、それに苦情は来なかったとか。
かけてくれるだけで嬉しい、微妙に違うのも愛嬌という気分だったのでしょうね。


さて、育てる心の2回目、「ビート・オン・プラザ」の話を書いてしまったので、相当脇にそれてしまいました。
興味のある方は、こちらのサイトも面白いので、一度ご覧あれ。
今日も長くなったので、気を取り直して又明日。







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100以上の番組、ライブを中心としたイベント、舞台、映画など、専らクリエイティブな世界に身を置いて30年。
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いつまで続くかは皆さん次第。


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