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シリーズ 東京一極集中の功罪~マスコミ編(5)

FM大阪はFM802の誕生に対して、その動きを制するような手段は何らとりませんでした。
自分たちには実績がある、そう簡単には客を取られないだろうと思い込んでいたようです。
私の考え方は、そういう社のお偉いさんとは全く違っていました。
相手は、商売敵です。
自分の隣に店を出し、同じようなものを同じような客に対して売ろうとしているのに、それを黙ってみているなんて商売人としては失格でしょう。


表向きは、鷹揚なふりをしていても、陰では思い切り邪魔をしないといけません。
向こうが安売りをかけるなら、もっと安売りする。
相手が勝負をしようとしている商品がわかれば、同じものをカウンター的に作る。
こちらも相手ができないようなセールをする、魅力的な商品を売りに出す。
これぐらいのことをしないと、新しい店には負けます。
何しろ、向こうは「新しい」のです。
「NEW」というだけで、どれだけの訴求効果があるかわかりますか。
FM大阪、基本的な商売をわかっていなかったとしか思えません。


相手が勝負しようとしているものに対して、同じようなもので対抗するのは基本でしょう。
FM802が例えば大阪を主張するなら、同じように大阪を主張すればいいのです。
TFMが何と言おうと、JFN各局から文句が出ようと、FM802に対抗するにはこうせざるを得ないのだと主張すればいいのです。
それが局の姿勢というものです。
リスナーに、あ、FM大阪は変わった、FM802も面白いけど、FM大阪も聞いてみようと思わせなくてはいけません。
しかし、何にもしませんでした、東京にいた私はあきれるばかりでした。


繰り返しになりますが、私が東京に異動したのは平成元年の2月でした。
その時の私は、とにかく早く東京に慣れること、東京の人たちと懇親を深めることで精一杯でした。
特に最初の1年間は、何がなにやらわからないままで過ぎていきました。
FM802の誕生は、その年の8月です。
私は、FM802がどんな放送をしているのか、どういうステーションカラーを打ち出していたのか、ほとんど知りませんでした。
東京にしか目が行っていなかった、大阪で何が起きているかまで考えるヒマがなかったのです。


しかも、FM大阪という放送局は、東京支社にいる社員のケアをあまりやりません。
東京支社は東京支社だけでやってくれというスタンスを感じました。
東京支社の制作担当は、最初だけ2人体制でしたが、しばらくして私1人になり、東京支社の中で仕事の中味を話す相手がいなくなりました。
私は、人事的には東京支社管轄なのですが、仕事は本社直結。
つまり、私の上司は本社の制作部長ということになり、東京本社には私を管理する人はいません。
一見自由そうに見えるかもしれませんが、何があっても自己責任、誰も助けてくれないという状況だともいえます。
本来、制作部で交わされている情報ぐらい、定期的に連絡してくれてもよさそうなものですが、本社からは何にもきません。
だから、本社制作部の中で、FM802にどう対抗するかという話も全く耳に入ってきませんし、今何が問題になっているかもわかりません。
こちらから聞けばいいのですが、先ほども言いましたように、私は東京に同化するのにほとんどの時間を費やしていました。


面白いことに、私の仕事の内容にも全く無関心。
私が実際に何をやっているか、報告しろとも言ってこないし、802がこうだから、東京でこういう番組を作ってくれとも指示されたこともありませんでした。
あいつは、東京へ行った、それで終わり、ああ、清々したとでも思っていたのではないかと疑りたくなるほどです。


そうこうするうちに、衝撃的な電話が入ってきました。
大阪のタレント事務所からです。
内容はほぼ次のような内容でした。
「色々とお世話になりましたが、このたびFM802の番組に出演することになりました。私たちはFM大阪が好きで、何とかFM大阪を元気にしようと思って頑張ってきましたが、それも空回りするばかり。もはや私たちのできることはありません。前からFM802さんからがオファーをいただいており、今回それに応ずることになりました。ご容赦ください。」
その間の事情も説明していただきました。
私と一緒に仕事をしていたころが懐かしい、もしあのような番組が作れるなら、わざわざ移籍することもなかったでしょうというお話もありました。
ありがたいお言葉でしたが、私にはどうすることもできませんでした。
何やってるんだよ、大阪の連中は・・・。
こうやって時代は変わっていくんだろうな、これから冬の時代がくるのかもしれないな、と漠然と思ったりしました。
秋の始まりの頃のお話だったと思います。




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100以上の番組、ライブを中心としたイベント、舞台、映画など、専らクリエイティブな世界に身を置いて30年。
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いつまで続くかは皆さん次第。


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