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サブカルチャー路線の放棄?

前回紹介した村上龍さんの「逃げる中高年、欲望のない若者たち」、元々は「欲望のない若者たち」ではなく、「犠牲になる若者たち」だったようだ。
それが何故変わったのか、多分若者たちから自分たちが中高年の犠牲になっているという声が聞こえず、こいつらはもはやそんな良い生活をしたいとか、自分の好きなように生きたいという欲望がないのだ、そうでないとどうしてこんな状況に耐えられるのかわからないと村上氏自身が思ったからではないだろうか。
むしろ、欲望がないではなく、声を上げない若者たちとした方がよかったような気がするが、それではタイトルにインパクトがなくなると編集部が思ったのだろう。
正直いってこの本、若者はそれほど読まなかったような気がする。
一番興味を持つのは、逃げ切り世代のオッサンオバハンで、この層の耳目をひけばそれでよかったのではないか。

村上さんが最初の「草食系と肉食系というごまかし」という章で、こんなことを書いておられたので紹介する。

1980年代、「新人類」という言葉が流行って、そのときも私は苛立った。「新人類」というのがどういう人たちを指していたのかさえ、今となってははっきりしない。秋元康とか中森明夫とか泉麻人などが、確か「新人類」だった、と思う。3人ともすでに立派なオジサンで、どこにも「新」という面影はない。


そういえば、1980年代に筑紫哲也さんが朝日ジャーナルの編集長をされていた頃、「若者たちの神々」とか「新人類の旗手たち」とかいう連載をされて話題になっていたことを思い出す。
いわゆるポストモダン的な空気が日本の一部の知識人にもてはやされていた頃で、「新人類」というのも、本当に新しい人類という意味ではなく、それまでの価値観を保守する世代とは違ったポスト人類的な思考や行動を主張する若者たちを指して言った言葉だったのだろう。
ま、そういうポスト人類も今やオッサンオバハンなのである。
人類のど真ん中、地位と名誉の上で軽く胡坐を書いている感じのオジさんオバさんたち、個人的には糸井重里さんもそんな感じがするのだが、あまり言い過ぎると怒られるかもしれない。


ラジオの論考のところで、私はラジオこそはサブカルチャ-を核として、一時の人気を謳歌したと書いている。
シリーズ ラジオの生きる道(10)~サブカルとラジオ
多分、今の若者がラジオに求めるとしたら、それはサブカルチャーの権化みたいなメディアではないかと思うのだ。
多数派を狙った放送ではない、むしろ私のように結果として少数派的立場に自然に追い込まれてしまったような層をターゲットにする。
テレビのようなラジオにしてはいけない。
テレビではこういう風に取り上げられていますが、ラジオは全く別の取り上げ方をしています、という風に。
同じことを放送していたらテレビにとられるだけだ。
かといってネットみたいなラジオをやっていたら、情報的精度は落ちるだろうし、何か起きた時はそのことをもってサブカルチャーそのものが弾圧されてしまいかねない。
前に書いたが、ラジオが好きな人に向けて、ラジオが好きでたまらない制作者をラジオを使って日々発信することだ。
クライアントはラジオが好きで好きでたまらない方にお願いしよう。
中途半端な放送をしているから、若者はラジオに目を向けてくれない、耳を傾けてくれないのではないだろうか。


ラジオ的な位置づけは、多分ポストテレビ文化のカテゴリーの中で検討すべきものだと私は思う。
その一つの武器がradikoであってもかまわない。
文化論としてラジオを考えるべきであって、過去の蓄積されたノーハウの上にラジオを描くのはそろそろ抑制的にすべきではなかろうか。
サブカルチャー路線をラジオはいつ放棄したのかと、例えば私が問いかけても、今もラジオ関係者は多分こういうだろう。


ラジオはカルチャーだったし、これからもそうだ、自分たちをサブカルチャーだなどと思ったことはない。


所詮、彼らは多数派思考しかできないのだ、本当は少数派思考ができる人材を経営者に据えるべきなのに、相変わらず多数派におもねるものしか優遇されていない。
ラジオには未来はない、ラジオが消え去る日も近い、と私の業界の先輩は書いた。
今のままでは、確かにその危惧を禁じえないのは同感である。



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