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シリーズ ラジオの生きる道(7)~問いかけに答えて

たまごっち的ラジオその2を書く前に、ツイッターで2つほど問いかけられたことがあります。
今日は、それに答えることに限定したいと思います。
まずは、「Cocoloの失敗とは、ターゲットが特殊過ぎたってことでしょうか?」です。


昨日、次のようなリリースがありました。

総務省は、株式会社FM802(代表取締役社長 木矢 道雄)から無線局免許承継申請のあった関西インターメディア株式会社(代表取締役社長 高田 正一)所属の外国語放送を行う特定地上基幹放送局(超短波放送)の免許人の地位の承継について、本日、許可いたしました。


これで、外国語FM放送は95年以降に生まれた4局全てが当初の経営形態から変わったということになります。
東京のインターFMは、テレビ東京の系列化に入り、名古屋は消滅、大阪はFM802に身売り、福岡のLOVEFMは、コミュニティFMに吸収されてしまいました。
大体、何故こんな形態のFM局を認可したのか当時から疑問だったのですが、こういった結果が出ると誰かの責任を問いたくなりますね。


95年、まだ電波は無条件に儲かる利権という印象をもたれていました。
それゆえ、どこかのチャンネルを認可するという話になると、どこからか有象無象がやってきて申請の束が山のようになりました。
それを調整して、有力な企業をコアにして電波を割り当てる。
東京はジャパンタイムズ、大阪は関西電力を中心にした関西財界、名古屋も愛知の財界、福岡も九州の財界と言う風に整理されていきました。
電波は利権なのだという神話は本当に強固でした。
電波を出せばすぐに儲かる、そういう気持ちがなければ開局費用だけで10億以上かかりかねないFM局など作るインセンティブは働かなかったでしょう。


話を広げると長くなるので、Cocoloの話に限定します。
「Cocoloの失敗とは、ターゲットが特殊過ぎたってことでしょうか?」
この問いかけは、Cocoloの番組を愛しておられた方からのものです。
私もCocoloが好きだったというコアなリスナーの方、多く知っていますし、出演者にも友人が何人かいました。
しかし、ビジネスとして成功するかとなると、外国語放送じゃ多分無理でしょうというのが本音です。
元々何故Cocoloが生まれたのかというと、阪神淡路大震災で関西にすんでいる外国人の方々が情報を得るのに苦労したというエピソードの流布がきっかけだったように思います。
外国人、とりわけアジアから日本に来ている外国人向けの放送が必要だという大義名分が立ったのです。
電波の割り当てを広げるというのは、政府の方針でもあったのですが、何か理由がないといけない。
その大義名分に阪神大震災が使われた、私はそういう感想を持っています。
しかし、関西の中心部には、既に大阪に2波、京都と神戸に1波、FM局が存在し、そこそこ商売が成り立っています。
同じ条件では、外国語放送は負ける、そう思って県域放送ではなく広域放送にしたのです。
言ってみれば下駄を履かせてあげたということでしょうか。


そして放送はスタート、確かに目新しい部分もありましたが、正直もはやバブルも崩壊しラジオの時代は過ぎ去っていました。
今ごろ参入しても、パイは増えない、利益を出したければ、他のラジオ局から奪うしかないのです。
しかし、局の人間は他局から奪うノーハウなどあるはずがありません。
もっともらしいコンセプトを押し出して、出稿を促しても、そんな金はないとクライアントからも代理店からも相手にされませんでした。
放送って、電波を出したらその日から儲かるんじゃなかったのか、売れないなんて俺たち聞いてないよー!
ま、放送局の人達の正直な感想ではなかったでしょうか。
こんなの元々間違っていたのではないかと。


私はPCM衛星放送ミュージックバードの立上げ責任者の一人でした。
各チャンネルを編成し、92年初めて放送波を衛星に向けて発射した時に心から思いました。
こりゃ、神風でも吹かない限り、商売にはならないなと。
状況を正しく把握できた人は、Cocoloに対してもそう思ったはずです。
親会社の援助がなければ、放送はいつかやばくなると。
正直、外国語放送は、重荷になったはずです。
クライアントはそれに魅力を感じないのですから。
もちろん、やり方はあったでしょう、もっとコアなターゲットを囲い込み、それで商売が成り立つにように工夫するとか。
しかし、電波を金に換える方法論からすると、外国語放送など相手にできないというのが広告業界の現場だったと思います。
何度も繰り返しますが、広告代理店からみても積極的に売るためのノーハウなどありません。
代理店から相手にされなければ商業放送は無理です。
コミュニティFMもそうですし、外国語放送も無理です。
いえ、有料放送のミュージックバードを初めとするPCM放送、BSラジオ、それとコンセプトは画期的だったセントギガ。
結局、代理店がビジネスモデルを作ってくれなかった局はすべて破綻の方向へ行かざるを得なかった。
つまり、ラジオ単体では何もできないのだと、気づいているべきだったのです。


Cocolo、だからターゲットの設定が間違っていたというわけではありません。
そこからビジネスモデルを作れるだけの、人的経済的ボリュームがなかったのだと思います。
無謀なことですが、例えば孫正義さん率いるソフトバンクがCocoloを経営するとなったら、多少は違っていたかもしれません。
普通の大会社のサラリーマンが、頭だけで何とかしようと思って経営できるはずもない、それが今のラジオの現状ではないでしょうか。


さて、これで答になったでしょうか。
不可なんていわれるとショックなので、この問題、引き続き考えて行きたいと思います。
そして、もう一つの問いかけ、「TBSのサブカル路線はラジオの一つの生きる道なのか」。
小島慶子さんがこの4月からTBSラジオを去ります。
そして、幾つかの小さな改編が行われようとしていますが、売上は依然停滞、制作費のカットも図られているという声も耳にしています。
ということで、TBSラジオについて次回は書いてみたいと思います。
たまごっち的ラジオは、そこに見えてくるのでしょうかね。




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コメント

[C8] うーん‥‥

Cocolo、そしてラジオについての解説、どうもありがとうございました。

私たちリスナーにとってはメディアはエンターテイメントですが、作る側にとってメディアは利権なんですね・・・・

サラリーマン制作者の頭では斬新なビジネスモデルの構築は無理って話も、よーく分かります。

しかし、この話はラジオに限ったことではなく、濫発されるソーシャルメディアのビジネスモデルのあり方や、既存メディアの攻防の問題を象徴しているようにも感じます。

どちらにしても、作る側も売る側も、サラリーマン的な頭では難しいでしょうね・・・・

作る側のイノベーションも大切ですが、売る側というよりもお金出す側の志・・・・国のためにインフラに私財を投じるくらいの決心がないと難しいのでしょうね・・・・

明治や昭初期に、鉄道やリゾート開発に私財を投じたりした資産家や財閥は、グレートだったですよね・・・・
  • 2012-03-25 09:34
  • 五〇一
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100以上の番組、ライブを中心としたイベント、舞台、映画など、専らクリエイティブな世界に身を置いて30年。
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